113 部分的模倣も防げるのか

意匠法の定義をもう少し詳しく見ていきます。
意匠法第二条第一項の「物品(物品の部分を含む。)」は、物品の全体を対象にする意匠だけでなく、物品のある部分だけを対象にする意匠も、保護を図る対象としています。これは、意匠というものが物品の外観でもあり、見れば誰でもすぐ模倣することができてしまうことから、平成10年に改正されたものです。それまでは全体意匠のみが保護の対象でした。独創的で特徴のある部分を取り入れつつ、外観を異なるものにするなど、意匠全体では侵害となってしまうことを避けようとする巧妙な模倣が増加したことによります。このような模倣は、全体意匠の保護のすきまをかいくぐってしまうものであり、その商品を生産するための投資の回収を保護するには不十分なものとなっていました。その対策として、物品の部分も、意匠の保護の対象としたものです。こうして、いわゆる巧妙な部分的模倣を防ぐことができるようになりました。これを、それまでの「全体意匠」と対比して、「部分意匠」といいます。