224 秘密意匠

「意匠登録出願人は、意匠権の設定の登録の日から三年以内の期間を指定して、その期間その意匠を秘密にすることを請求することができる。」(意匠法第十四条第一項)
【説明】服装のデザインなどでは、来るシーズン向けの意匠の創作だけは進めてストックはしておいても、そのシーズンが来るまで実施(商品化)はしないことも行われています。そのような場合、出願だけはしておいて先願としての権利は確保しておいても、意匠公報で公開されて他人に模倣されることを避けたい場合があります。このような場合に、秘密にすることを請求できるようにして、一定期間(上限3年)、意匠公報の発行時でも意匠そのものは公開しないことを認める制度です。工業所有権制度の本来の制度目的からは、創作を公開して利用を図る代償に、独占排他的権利を認めるのですが、意匠の創作は外観であり模倣しやすいことから、短期間の例外的制度とされています。
秘密にすることの請求は、平成18年の法改正で、出願時に請求できるだけでなく、登録料の納付時にも請求できるようにし、秘密にする要否の判断が柔軟にできるようになりました。
本制度は意匠公報の発行を左右するだけなので、登録を受ける要件は、通常の意匠と同じです。