141 意匠登録を受けるメリット

自分の創作したデザインに意匠登録を受けることによって、そのデザインを業として実施することについて、独占排他的な権利を得ることができることを、ご理解いただけたと思います。ここでは、意匠登録を受けるメリットは何か、について考えてみましょう。
意匠は、創作した者によって生み出された無形の財産である、ということができます。但し、有形の品物であれば、誰が持ち主であるのか、誰が独占排他的な使用権者であるのか、はその品物を手に持っている人が持ち主であることに、疑問は生じません。では、手に持てない大きな品物、自動車や土地の場合はどうでしょう。自動車の場合には、その鍵を手に持っている人が持ち主であったり、レンタル契約による正当な使用権者であることに、疑いはありません。土地の場合には、「持っている」ことを誰にでもわからせるために、その土地の権利関係を公示する登記簿が作成され、そこに持ち主が記載される、登記という手続がなされます。
意匠の場合も、「持っている」ことを誰にでもわからせるために、意匠原簿が作成され、意匠権者をはじめとする権利関係が公示されます。土地は「何を」もっているのかが、境界杭などによって、誰もが土地そのものを見てわかります。しかし、意匠は「何を」に相当するものが、意匠(視覚を通じて美感を起こさせるもの)を業として実施する権利、という観念的なものです。このため、意匠がどんなものかを誰にでもわからせるために、意匠公報で公開されます。こうして、意匠という無形の財産も土地の登記と同じように権利関係が確定され保護されることになるのです。これが意匠権の設定の登録です。
あなたが創り出したデザインという無形の財産を、有形の財産と同様に、法的に漏れなく守ることができるようになる、というメリットを得ることができるのです。意匠登録制度を利用して、意匠登録を受けることが望ましいことをご理解いただきたいと思います。