131 商標登録との違い

商標登録も意匠と同じように、工業所有権として保護されますが、意匠と商標登録との違いは何でしょう。ひと言でいえば、意匠は物品の美的デザインとして保護するもので、商標はブランドとして保護するものです。
意匠は、人間が創作するものと法律上定義されていますが、商標は、既にある文字やしるしを選択するものといわれています。意匠法第二十六条によれば、意匠権は商標権と抵触する場合があるとしています。同じアイデアでも、形状でもあるし、しるしでもある場合があると仮定します。意匠の場合には、物品の美的なデザインの創作として保護するのに対して、商標の場合には、そのしるしや標識に化体した業務上の信用を保護するのです。言い換えれば、そのしるしなり形状なりが業務上の信用に関係なければ、商標として登録を受けることができません。逆に、そのしるしなり形状なりが視覚を通じて美感を起こさせることができなければ、意匠として登録を受けることはできません。
見方を変えて、事業をする立場から見てみます。形状でもあるし、しるしでもある場合の仮定を考えてみましょう。需要者の美感に訴え、その物品に対する購買意欲を高めるために、その形状を使うのであれば、それは意匠としての使い方になるでしょう。その物品が需要者に飽きを感じさせるようになれば、その形状は以降事業には使わないでしょう。事業者の品質管理や苦情対応に対する需要者の信用を蓄積していくために、様々な物品にそのしるしを繰り返し永続的に使うのであれば、それは商標としての使い方になるでしょう。
意匠として保護を受けた方がいいのか、商標として保護を受けたほうがいいのか、お悩みでしたら、どうぞ専門家にご相談ください。