215 先願意匠と一部同一の除外
「意匠登録出願に係る意匠が、当該意匠登録出願の日前の他の意匠登録出願であって当該意匠登録出願後に第二十条第三項又は第六十六条第三項の規定により意匠公報に掲載されたもの(「先の意匠登録出願」という。)の願書の記載及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本に現された意匠の一部と同一又は類似であるときは、その意匠については、前条第一項(新規性)の規定にかかわらず、意匠登録を受けることができない。」(意匠法第三条の二本文)【説明】他人が先に意匠登録出願した、意匠の一部と同一又は類似の意匠は、意匠公報で公開される前であっても、原則的には新しい意匠として保護を受けることはできません。
例えば、他人が完成品の意匠を先に出願した後で、その完成品を構成する部品の意匠を出願する場合です。後願は、意匠全体としては物品も異なり類似しないものであっても、先の出願が後日意匠公報で公開されれば、新しい意匠としては、除外されるのです。
このように、先の出願に記載された意匠と一部同一又は類似の意匠は、見かけ上新規性を満たしても、登録して保護する意義はありません。意匠法第一条の法目的である創作の促進や産業の発達を阻害することになるからです。
但し、先の出願が、取り下げ・放棄・拒絶査定又は審決確定により、後日になっても意匠公報で公開されなければ、後願にこの要件は適用されず、登録を受けることができます。