225 動的意匠

「4  意匠に係る物品の形状、模様又は色彩がその物品の有する機能に基づいて変化する場合において、その変化の前後にわたるその物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合について意匠登録を受けようとするときは、その旨及びその物品の当該機能の説明を願書に記載しなければならない。」(意匠法第六条第四項)
【説明】玩具などでは形状の変化するものが多く、動物人形であれば四本足で立つ形状と後ろ二本足で立つ形状が違ったものとなる場合があります。
また、携帯電話などでも使い方に合わせてパネルを開いたり・閉じたりして形状が変化し、日用品などでもふたを外したり・はめたりで形状が変化していると認められる場合があります。これらは、一つの物品でありながら複数の意匠を含んでいるといえます。例えば、四本足で立つ形状のみの登録を受けても、他人が二本足で立つ形状の登録を受けている場合、二本足で立つ形状の実施は他人の意匠権の侵害となります。そうすると、形状の異なるごとの状態の意匠を出願して権利化しなければならなくなり、出願する者、登録を与える者(特許庁)、利害を持つ第三者にとっても非常にわずらわしいものになります。このため、変化する意匠についても一つの出願で完全な権利がとれるようにした制度です。
登録を受けるための要件は、対象が変化する意匠であるという複雑さは別にして、工業上の利用性から一意匠一出願まで、通常の意匠と同様の要件を満たさなければなりません。