313 早期審査

意匠の審査結果が出るのは、出願してから約7ヶ月と早いのですが、それでもその間に第三者が実施を始めるなど、緊急に権利化する必要の生じる場合があります。このような場合に、出願人は早期審査の申出手続きをして、早期審査のための一定の要件を満たしていると認められれば、申出から約2ヶ月で審査結果を得ることができます。
特許の場合には、出願してから3年間、審査請求が認められ、請求してから審査結果が約2年半後に出されます。このように特許の場合には、権利化するまで非常に長い期間がかかるので、それまでの出願公開後の第三者の実施に対して、警告をして補償金の支払いを請求することができます。但し権利化ができなかった場合には、この支払い請求の行使はできません。意匠の場合には、権利化までの期間が短いため、第三者の実施に対して補償する制度はありませんが、緊急性に応じて審査を早期にできるようにして、出願する効果を実質的に図っているといえます。

ここで、早期審査のための一定の要件や手続きを見ていきます。
まず、緊急性の要件は、出願人が出願の意匠を実施しているか又は実施の準備を相当程度進めている場合です。かつ、次のいずれかに該当し、権利化について緊急性を要するものでなければなりません。
@第三者が許諾なく、その出願の意匠又は類似する意匠を実施しているか又は実施の準備を相当程度進めていることが明らかな場合、
A出願人自身の意匠の実施行為について、第三者から警告を受けている場合、
Bその出願の意匠について、第三者から実施許諾を求められている場合、です。

次に、手続きするのは、出願人(またはその代理人)でなければなりません。手続きする時期は、出願後のいつでもできます。なお、特許庁では審査スケジュールを物品ごとに設定して公開していますので、これを参照して手続きするといいでしょう。手続きは、「早期審査に関する事情説明書」を作成・提出し、早期審査の申出をしなければなりません。この書類に、権利化について緊急性を要する状況を記載します。