画像を含む意匠
デザイン画面も保護されることは、その説明でご理解いただけたと思います。ここでは、画像を含む意匠として登録を受けるための要件を見ていきます。
「機能を発揮できる状態にするため」の操作の画像に限られるとは、具体的にどういうことでしょう。
まず、機能を「発揮できる状態」は、例として、切符の券売機であれば切符を発券できる状態、DVDレコーダーの映像再生機能であればコンテンツを視聴できる状態などがあります。実際に機能に従って働いている状態(機能を発揮している状態)は、保護を受ける対象にはなりません。例として、携帯電話で通話中の画面やメールを送信中の画面、DVDレコーダーの録画中や再生中の画面は、登録を受けることはできません。
次に、「操作」とは、物品が機能に従って働く状態にするために指示を与えることをいいます。従って、操作のための図形がなく、作動状態を示すに過ぎない画面は操作のための画像とは認められません。複数の操作の段階を経て機能を発揮できる状態になる場合には、それぞれの段階の画面も保護の対象になります。以上の「機能を発揮できる状態にするため」の操作の画像を、意匠公報で公開されている実際の登録意匠の例で示しますので、文末の図1から図3をご参照ください。
よく話題になる件についての審査基準を以下に紹介します。
(1)複数の機能を有する物品の場合
情報技術の発展にともない機能の拡充は著しく、当該画面が複数の機能のうちどの機能を発揮できる状態にするためのものか、俄かにはわかりにくい場合があります。このような場合には、出願願書に説明の記載をしなければなりません。
(2)コンピュータ上の画面
コンピュータの本来の機能が情報処理であるので、ソフトウエアを使用したり、インターネット上で検索したりする画面は、本来の機能を発揮させている状態であるので、保護の対象ではありません。これらは、特許又は著作したプログラムとして保護されるものになります。
(3)ゲーム機上の画面
ゲームの画面は、ゲーム機として機能を発揮している状態であり、保護の対象ではありません。ゲーム専用機のようにプログラムが組み込まれていても、標準的にプリインストールされていても、利用時にインストールするプログラムと同様に保護の対象ではありません。これらは、著作したプログラムとして保護されるものになります。但し、ゲーム機本体の設定のための画面は、物品の機能を発揮させるための操作の画面として保護を受けることができます。
以上の画像要件に加えて、通常の意匠と同様に、工業上の利用性から一意匠一出願までの要件を満たさなければなりません。
図1
登録番号 | 登録第1231355号 |
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画像 |
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出典 | 特許電子図書館 |
物品 | デジタルカメラ |
意匠の説明 |
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図2
登録番号 | 登録第1369403号 |
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画像 |
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出典 | 特許電子図書館 |
物品 | 携帯情報端末 |
意匠の説明 |
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図3
登録番号 | 登録第1372752号 |
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画像 |
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出典 | 特許電子図書館 |
物品 | 携帯情報端末 |
物品の説明 | モデムとテレビ受像機等の表示機器との間に接続され、配信される番組の放送信号やオンデマンドビデオ信号を受信し、表示機器で再生可能または録画可能な映像音声信号に変換するためのセットトップボックスです。 |
意匠の説明 |
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