341 外国での権利化

日本国内における意匠の保護は、日本国の意匠法という法律に基づき登録を受けることにより保護されることは、これまでの説明でご理解をいただけたと思います。日本国の意匠法による保護は、もちろん外国では効力はありません。しかし、こうした意匠の登録による保護制度は、パリ条約(*注1)により、国際的にいわば標準化されており、パリ条約の加盟国であれば、同様の登録による保護制度により、大方の外国でもその国の法律により保護されています。
*注1:パリ条約とは、1883年にパリで締結された工業所有権の保護に関する条約で、その後改正が繰り返され、1967年にストックホルムで改正され、1979年に修正され最新となっています。日本は、1899年(明治32年)に加盟し、2008年現在の加盟国は171ケ国に及んでいます。

あなたの創作したデザインの商品が外国の市場で、模倣品などとの競争に曝されないで保護されるためには、その外国で登録を受ける必要があります。では、外国で登録を受けるにはどう手続きしたらいいのでしょうか。
特許の場合の特許協力条約(PCT : Patent Cooperation Treaty)や、商標の場合のマドリッド協定議定書のように国際的に統一された登録手続きは、まだ定められていません。従って、保護を受けたい外国ごとにそれぞれの国の法律に基づいた手続きを経て、それぞれの国の法律に基づいた保護を受けなければなりません。その国がパリ条約加盟国であれば、ほぼ日本国と同様な手続きにより、同様な保護を受けることができます。
但し、欧州共同体(2009年現在27カ国)域内では統一された登録手続きが定まっています。従って、欧州共同体域内で、保護を受けようとする場合には、欧州共同体商標意匠庁[OHIM:The Office for Harmonization in the International Market(Trade Marks and Designs)]に対する1件の出願手続きで済ませることができます。